コラム「今こそ倫理道徳の教育を」

今こそ倫理道徳の教育を

國分論語塾
塾長 國分三郎

 今日、日本では親が子供を殺し、孫が祖父母を殺す凄惨な事件が起きています。また、幼い子供やお年寄りを狙った犯罪も多発しています。それだけではありません。人の模範となるべき社会のトップにある人達が、姑息な犯罪を起こし、その謝罪と弁明のためのニュースが、連日流れています。
日本はどうなってしまったのでしょうか。あの美しい日本人の心は、何処に行ってしまったのでしょうか。私の日には「日本人の心がメルトダウンを起こしている」ようにしか見えません…
 150年前、ロシアの文豪トルストイは『不幸は不足ではなく過剰から生まれる』と喝破しました。いまの日本はまさにこの状態にあります。私たちは、日々、物に満ち溢れた生活を享受していますが、その反面、心の貧しい不幸な人達が増えています。これは戦後、物の豊かさを求め過ぎ、倫理道徳の教育をなおざりにした付けが、いま現れているのではないかと考えます。嘗て、日本では、家庭でも学校でも社会でも倫理道徳を厳しく教えていましたが、戦後は、あまり教えなくなってしまいました。
倫理道徳の廃れた民族は減びます。国も街も会社も家庭も減んでしまいます。個人においても同じです。いかに高い知識や技術を身に付けようが、また、オリンピツクで優勝する程の大記録を樹立しようが、その人の心が倫理道徳に裏付けられたものでなければ、その栄光は長く続くものではありません。歴史は「社会の繁栄や、個人の幸。不幸の根底に倫理道徳がある」ことを教えています。
 今日、学習塾やスポーツクラブが盛況です。ここで学ぶことも大切な事ですが、これに加えて、人間としての勉強である倫理道徳を学ぶことも、極めて大切な事ではないかと考えます。

 

※ 記載内容は「さの文化第14号」(平成31年3月31日発行)より転記しました